2025年7月場所個別評価 荒篤山 

 今場所は東十両14枚目であり、14場所ぶりの関取復帰となったが10勝5敗の好成績だった。4日目までは2勝2敗だったが5日目からは6連勝し、10日目に勝ち越しを決めた。そして14日目は湘南乃海を押し出し、白星を二桁に乗せた。千秋楽は優勝争いでトップの三田が先に相撲を取って敗れたため、勝てば決定戦に持ち込める一番となった。しかし竜電に敗れ、決定戦進出とはいかなかった。

 内容に関しては本人が語っていたように勝ち負けにこだわらず、ひたすら突き押し相撲に徹していた。2日目は幕下で元大関の朝乃山戦だったが突っ張って朝乃山の上体を起こすと朝乃山のバランスが崩れたところを突き落とした。相手を意識せず、自分の相撲に集中した結果である。実力者相手に素晴らしい相撲内容だった。13日目の東白龍戦は東白龍の変化と叩きに対応し、最後は右からの突き落としで東白龍の攻めをかわした。好調さがうかがえる一番だった。そして14日目の湘南乃海戦は立ち合いで当たり勝って押し込むと湘南乃海の右からのいなしに乗じて突き立てた。最後は右へ回り込む湘南乃海を押し出した。優勝争いに絡んでいたが自分の相撲を取ることだけを考えており、緊張感は全く見られなかった。

 また幕下での土俵が長くなった中で部屋の年下の大青山に追い越されたことも刺激になっているようだ。そして大青山は四つ相撲だがどちらも正攻法であり、上手い相撲が取れないという部分も似ている。大青山は伸び盛りであり、その流れに乗りたいところだ。

 来場所は番付を上げるが再度の二桁勝利といきたい。そして2年以上幕下で過ごした苦労が生かされそうである。精神的にも一回り大きくなっており、今の流れで再入幕を目標にしたい。