2025年1月場所を振り返って 豊昇龍優勝に関して

 豊昇龍は優勝インタビューで3敗目を喫した後、師匠の立浪親方から「楽しくやれ」と声を掛けられたようだ。この言葉に助けられ、翌日からは肩の力が抜け、自分の相撲に集中できていた。そして王鵬のアシストもあり、優勝と横綱昇進を手繰り寄せた。相撲内容も先場所同様安定しており、照ノ富士が引退したということで横綱に上げたことは私的には妥当な判断だと思っている。

 ただその一方で豊昇龍は運を引き寄せるのが上手いという印象もある。2023年7月場所は14日目終了時点で11勝3敗であり、北勝富士と伯桜鵬とともにトップで並んでいた。ただ相撲内容は評価されておらず、大関昇進に向けては千秋楽の結果を見てという状況だった。そして千秋楽は本割で伯桜鵬を破ると決定戦では北勝富士に勝ち、初優勝と大関昇進を決めると同時に平幕相手に力の違いを見せた。今場所も最後まで綱取りは分からず、優勝と同時に平幕相手に格の違いを見せたという部分は一緒である。また先場所は琴櫻に敗れて優勝を逃しており、その悔しさをぶつけてくることを含めて豊昇龍が横綱に上がるのではないかというのは何となく想像していた。

 おそらく豊昇龍の横綱昇進は関係者に限らず、ファンを含めて納得していない人もいると思われる。しかし横綱に上がったからには今まで以上に精進し、強い横綱を目指していくしかない。本人も語っていたが横綱になったので自分の相撲を取るだけでなく、負けない相撲を取ることが求められる。年齢は25歳と若く、更なる進化を期待したい。

続く