この部屋に注目! 中村部屋 最後に

2024年11月21日

 従来の稽古を省き、独自の稽古を取り入れるというのはリスクがあり、師匠も不安に思っているかもしれない。しかし物事にリスクはつきものであり、リスクの先に成功が待っているのも事実である。

 それは師匠自身が一番よく分かっているはずである。先述のように師匠は尾車部屋から二所ノ関部屋に転籍している。そして移籍した後の2022年6月に部屋施設が完成し、部屋開きが行われた。茨城県阿見町にある部屋施設は広大な土地を有し、建物には土俵2面を設置した。また屋外にはバスケットボールコートや鉄棒を設置しており、これらの施設もトレーニングの一環として活用されている。師匠の元横綱・稀勢の里が茨城県出身であり、支援が大きいことに加えて衣食住の環境が良いことを挙げている。ということで二所ノ関親方は相撲部屋の新たなビジネスモデルを作ったと言える。おそらく二所ノ関親方を参考にしている部分は少なくないと想像している。

 そして師匠の一番の強みは筋力トレーニングの知識だと私は思っている。また知識だけでなく、自ら積極的に取り入れて結果を出した人である。おそらく他の同世代の力士以上にこだわりを持っていたはずである。責任は伴うが、師匠となったのでトレーニングを通じて若い力士を鍛えて欲しい。

 さて今年5月場所に嘉陽が新十両となり、新十両力士として相撲雑誌に紹介されていた。その中に「師匠からのアドバイス」という項目がある。大抵は師匠からの厳しいメッセージが書かれているのだが、何とそこに師匠からの言葉がない!。そしてそこには嘉陽本人が「特に言われていない。相撲を取るまでの心構え、次の対戦相手についてアドバイスされます」と書かれてあった。これこそ弟子を上から目線で見ていない何よりの証拠である。そしてそういった師匠の下で力士は伸び伸びと相撲が取れていそうである。

 関取30人が目標と夢も大きいのが師匠らしい。また結果が出れば人脈がなくとも押しかけて入門する人も出てくるのではないかと勝手ながら想像している。繁栄している部屋は新しい考え方を取り入れている部屋が多く、その部分では大いに期待できると言って良さそうだ。

終わり