この部屋に注目! 中村部屋 力士の紹介 宮城 「後の先」の相撲

 好成績には理由があった。「自分から当たらない立ち合い」が要因のようである。これまでは軽量をカバーしようと持ち味のスピードを生かし、自分から鋭く当たっていたが、待ち構える相手に捕まってしまうことが少なくなかった。しかし「押されても残せるんだから、相手が来たところで懐に入ればいい」と師匠にアドバイスされた。そして稽古場ではまず相手の突進をギリギリまでこらえ、押されても残せることを自覚し、自信が付いたところで先に当たらずに相手が来たところで懐に入る、いわば「後の先」の立ち合い習得に励んでいる。

 部屋には嘉陽、友風と関取が2人おり、いい稽古ができていそうである。また中村親方も二所ノ関部屋の時は師匠ではなく、独立して師匠になったので気兼ねなく指導できるということかもしれない。

 おそらく部屋での稽古だけではなく、筋力トレーニングなど努力していると思われる。体が大きくなっているのは今後に向けて好材料である。

 相撲は押しに加えて「ひねり技」を得意としている。ひねり技といえばやはり宇良を思い浮かべるが、宇良と違って横へのスピードが持ち味のタイプであり、ひねり技は選択肢の一つといった感じである。むしろ懐に入るという部分では師匠の元嘉風に似ている。師匠ともタイプは少し違うのだが、懐に入るタイミングは師匠を見習って欲しいところだ。あとは現役時代に見せた「嘉風フェイント」である。相手の動きを見ながら体をフッと沈み込ませてから懐に入って持って行く。自分の相撲を取る中で嘉風フェイントが使えるようになれば将来非常に楽しみな存在になると個人的には考えている。端から見ても稽古の成果が表れており、緊張するとは思うが自信を持って自分の相撲を取って欲しい。

続く