2024年9月場所個別評価 豊昇龍

 今場所は8勝7敗という成績だった。初日は隆の勝に押し出されて黒星スタートとなり、これで4場所連続で初日黒星となった。その後も平幕相手に黒星を重ねると6日目は王鵬に掬い投げで敗れて2勝4敗となり、二桁どころか勝ち越しさえ危ぶまれる状況となった。その後は4連勝して巻き返すも11日目からは連敗し、6勝6敗の五分の星となった。苦しい星勘定となったが千秋楽は琴櫻を押し出しで破り、何とか勝ち越しを決めた。

 内容に関しては全体として体の動きが良くなく、動きが鈍かった印象がある。おそらく7月場所12日目の琴櫻戦で右の股関節を痛めたことが原因と思われる。相撲を観た限りでは怪我の影響はないように見えた。ただ場所前の夏巡業は終盤の3日間のみの参加であり、稽古不足は明らかだった。場所前に追い込んで調整はしたものの間に合わなかったようである。しかし大関であり、優勝争いに絡めなかった責任は重い。

 場所後の秋巡業は巡業2日目で相撲を取る稽古を行っており、体調は悪くなさそうである。そしてもう一つ気になっているのが体重である。9月場所前には体重が150キロの大台を突破した。一方で「筋肉がついた分、体が硬い」と課題も口にしていたようである。ということで今の体重でキレのある動きができるかが今後に向けて大きなポイントとなりそうだ。仮にできないようなら動きが鈍くなって関脇に陥落した霧島のようになる可能性もある。夏巡業はほぼ稽古ができなかったので秋巡業では稽古を重ね、スタミナ回復に努めたい。

 11月場所は二桁勝利に止まらず、2度目の優勝を狙いたい。しかし気になるのが先述したように序盤の取りこぼしの多さである。今場所のように4つも負けてしまうと後が苦しくなるので、負けたとしても1つに止めたい。あとは体のキレが戻ることを期待しつつ、できるだけ前に出る相撲を取って白星を重ねて欲しい。