嫌らしい相撲を取る男! 翔猿 私が観た印象
最初に目に入ってきたのは幕下時代である。当たってから引いたりいなしたりする相撲が多かった。前に出る相撲ではないのだが、引きやいなしのタイミングが絶妙だった。また土俵際でのいなしも上手く、土俵際の魔術師と言っても過言ではないレベルだった。その一方でまともに引くときもあり、その時はあっさりと土俵を割っていた。私的にはこの相撲内容では十両には上がれないと見ていた。しかし技が上手かったのでこれといった壁にぶつかることなく十両に昇進した。これには驚いたものである。その後二度目の十両昇進後に十両に定着した。それと同時に壁にぶつかった。当然である。前に出る相撲が取れなければ幕内に上がれる訳がない。しかし突き押し相撲を見直すとともに体重増加にも着手した。すると効果はすぐに表れた。今までにはない前に出る相撲で勝てるようになると2020年9月場所で新入幕となった。そして11勝4敗の好成績で敢闘賞を受賞し、幕内に定着した。その後2022年9月場所は東前頭筆頭だったが10勝5敗で殊勲賞を受賞した。そして翌11月場所で新小結となった。9月場所の活躍で三役に昇進したのは勿論大きい。しかし評価されるべきはその相撲内容である。照ノ富士戦で初金星を挙げただけでなく、御嶽海や豊昇龍などの役力士を相次いで倒した。また小兵ながら前に出て勝つ相撲も多く、相撲ファンの多くが翔猿の相撲に魅了された。9月場所後の秋巡業では翔猿の周囲に人だかりができ、本人も戸惑うくらいだったようだ。知名度が一気に上がり、役力士になっただけでなく人気力士となった。それと同時にマスコミに取り上げられる頻度も増えた。しかも目立ちたがり屋のタイプの上に弁が立つ力士である。その意味ではマスコミにはありがたい存在かもしれない。勿論相撲の方も上位キラーぶりを発揮しており、今後も存在感を示していきそうである。
続く
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