2024年1月場所個別評価 島津海

 今場所は東前頭17枚目で新入幕だったが9勝6敗で勝ち越した。3連勝スタートも4日目からは3連敗し、前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は9日目から連勝し、12日目に勝ち越しを決めた。また千秋楽に勝てば敢闘賞受賞だったが明生に敗れ、受賞はお預けとなった。

 話題となったのが締め込みである。今場所から先代の師匠でもある元大関若嶋津が締めていた「若嶋津グリーン」に替えた。濃い緑色の廻しであり、当時の若嶋津のトレードマークでもあった。また最近は若嶋津グリーンの廻しを付ける力士がおらず、久々の廻しの色の登場ということもあって非常に新鮮に見えた。そして若嶋津と同じ種子島出身であり、褐色の肌も一緒である。よって重みがあり、当時の若嶋津を知る者としては「復活」は非常に嬉しかった。そして似合っていた。

 内容に関しては得意のモロ差しからの速攻相撲が光った。私的には最近はモロ差し得意の力士が幕内に少なく、対応に手間取ると見ていたので期待していた。3日目の対戦相手だった宝富士は左四つのスペシャリストということで宝富士の左と島津海の右の攻防が激しくなった。そして宝富士に左を差されたものの相手の投げに乗じて右を巻き替え、モロ差しになって寄り切った。10日目の妙義龍戦は立ち合いから右は差したものの左は差され、苦しい体勢となった。しかし寄られた後に右から掬って体を入れ替え、すぐに左を巻き替えると一気に寄り倒した。相撲センスの良さを発揮した。11日目の佐田の海戦は立ち合いからすぐに右を深く差し、相手に左前廻しを取られながらも左はおっつけながら一気に寄り立てた。そして残されると同時に左を巻き替え、懐に入って寄り切った。速い相撲が得意の佐田の海に速い相撲で勝ったことは評価できる。

 一方身長175センチと背が低く、手足が短いのでちょっとしたことで一気に体勢が不利になることがあり、勝負が付くまで分からない力士である。この部分はどうしようもないので勝ち負けではなく、自分の相撲を取ることに集中したい。

 3月場所は西前頭12枚目となったが再度の勝ち越しを期待したい。スピード負けはしておらず、対応力もあるので幕内に定着できそうだ。あとは場所前の会見で語った技能賞獲得宣言である。自身があるのは分かるが、技能賞は幕内で長らく相撲を取り、その技能が認められた力士が受賞するものである。まずは実績を作りたい。そして平幕上位に番付を上げ、上位力士を倒す活躍を見せれば技能賞は十分あり得ると思うので今後の活躍を期待したい。