今年の大関候補2024 大の里 その2

・今後に向けて

 番付的には新入幕の力士であり、大関候補に挙げるのは時期尚早かもしれない。しかし大学相撲出身で日本出身というカテゴリーに当てはめると久々に出てきた大物である。少なくとも大学相撲出身で大関を務めた正代や御嶽海よりスケールは上である。また1月場所前の二所一門の連合稽古では一門外から参加した霧島が大の里を真っ先に指名しており、早くも周囲に意識される存在になっているようである。

 能力の高さは間違いないので、あとは課題が出た時に乗り越えられるかどうかというところである。今のところは力の違いを見せており、期待せずにはいられない力士である。見た目も含めてスケールが大きいので大きく育って欲しいところだ。

 1月場所は11勝4敗の好成績で初の敢闘賞を受賞した。黒星は役力士と阿武咲戦のみということで想定通りである。やはり平幕下位では力が違った。一方素質が評価され、10日目からは上位戦に抜擢されたが3連敗という結果に終わった。内容も全て完敗であり、歯が立たなかった。しかし肌を合わせたことで自分の現在地というのが分かったのではないだろうか。その意味では収穫はあったはずである。次に生かし、その差を縮めていきたい。立派だったのは役力士との対戦の後の終盤3日間で白星を並べたことである。気持ちを立て直したのもあるし、強い力士と対戦した経験を活かして相撲を取っていたように見えた。3月場所は前頭7,8枚目あたりとなりそうだが、幕内2場所目であり、今度は対戦相手が対策を立ててきそうである。それでも負け越すことは考えられず、二桁勝てるかどうかが焦点となりそうだ。まだ23歳であり、大関を目指すというよりも力を付けることを優先したい。力が付けば結果は後からついてくる。相撲には三年先の稽古という言葉がある。毎日稽古をすることで、三年先にその貯金が生きてくるという意味である。おそらく師匠は将来を見据えて指導をしていると思うが、本人にもその意識を強く持ってほしいものである。目先の結果にとらわれず、一日一日を大切にして稽古に精進することを私としては期待したい。