目指すは大関! 豪ノ山 私が観た印象

 さて私が豪ノ山の存在を知ったのは幕下時代である。背は高くないが馬力があり、スピードが速い。ただとっさに出る引き技もあり、それが少し気になっていた。少しずつその回数は減ってきているが、体が覚えている部分もあるので今後どれだけ減らせるかが将来を左右すると言っても過言ではない。

 またここまでの過程に関しては三段目付出だったが負け越しあり、休場ありということで揉まれながら番付を上げてきたという印象がある。しかし大相撲の世界はただ番付を上げさえすればいいというものではない。特に大学相撲出身者は下積み期間が短いので付出の力士は幕内まではすんなり上がるものの、そこで頭打ちとなり、揉まれてきた経験がないのでそのまま終わってしまうという力士が多い。しかし豪ノ山は他の大学相撲出身で付出だった力士と比べると苦労してきている。不器用さが出世を遅らせてきた部分はあるが、私はこの苦労が今後プラスに働くと見ている。ただ年齢は25歳であり、上を目指すということを踏まえればこれ以上の遠回りは許されない。できればこのままの勢いで三役、そして大関に上がって欲しいと思っている。

 相撲の取り口に関しては突き・押しが得意だが四つに組んでも相撲は取れる。しかし師匠に四つに組まないように指導されており、最近は差しても差し手を抜いて押すといった相撲が多い。また突き押しとはいっても貴景勝のように距離を取るタイプではなく、距離を詰め、相手に密着して押す相撲が持ち味である。ということで廻しを取られるリスクがあり、取られた時の対応が課題である。またそれと同時に突き押し相撲に磨きをかけていくことが求められる。

続く