2026年9月場所個別評価 義ノ富士
今場所は西前頭2枚目だったが9勝6敗という成績だった。まさかの5連敗スタートとなったが6日目は霧島を上手投げで破り、初日を出した。そして前半戦を3勝5敗で折り返すと後半戦は9日目は安青錦に敗れて6敗目となった。しかしその後は白星を並べ、14日目に勝ち越しを決めた。千秋楽の朝乃山戦は勝った方が三役復帰という一番となったが寄り倒しで破り、来場所の三役復帰が濃厚となった。
やはり初日からの5連敗に触れない訳にはいかない。何が悪かったということではなく、少しずつ歯車が狂っていった感じである。強いて挙げれば初日の藤ノ川戦である。突っ張ってくると思ったところで意表を突かれ、右を差された。そして出足を利用される形で掬い投げを打たれ、土俵際に追い込まれて寄り切られた。一言でいえば藤ノ川にしてやられたという内容だった。結果として初日の相撲が尾を引いた印象である。
ただ5連敗スタートは初めてであり、いい経験になったと思う。7日目の取組後、前日の朝に師匠の元横綱照ノ富士の伊勢ヶ浜親方に呼び出され、いろんな話をしたみたいだ。その中で「俺なんか大関で12連敗(実際は13連敗)してるから」と言われ、平幕で5連敗ぐらいと思ったらしい。学生相撲出身で鳴り物入りで入門しているだけに、いい勉強である。そして気持ちを切り替えて勝ち越しを目指し、実際に勝ち越したのは立派である。
内容に関しては廻しを取る相撲で巻き返しており、やはり廻しを取ってこそという力士である。また右四つが得意だが上手は右上手でも相撲が取れ、霧島戦のように右からの上手投げもある。それでも投げ技に頼ってばかりだと怪我をする可能性もあるので、できるだけ前に出る相撲を取って欲しい。
特に良かったのが終盤の2日間の相撲である。14日目の藤凌駕戦はじわじわと押し込まれたものの右をこじ入れて下手を取り、左も差した。その後左上手を取られたが腰を振って切ると頭を付け、右下手出し投げで崩して寄り切った。前回は負けており、負けられないという気持ちもあったかもしれない。千秋楽の朝乃山戦は当たってすぐに左上手を取ると寄られたものの右に振って体を入れ替え、寄り倒した。相撲が速い上に上手く、持ち味を発揮した一番だった。
来場所はご当所九州での三役復帰となりそうだが二桁勝利を期待したい。また7月の熊本地震で実家が被災しており、「身に来てくれる方をがっかりさせないように。テレビで見ている方も多いので、相撲で勝って喜ばせたいという気持ちが強い」とコメントした。ただ地元ファンの期待を背負い過ぎても仕方がないので、敢えて自分の相撲を取ることに徹して欲しいと思っている。
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