2026年9月場所個別評価 熱海富士

 今場所は大関獲りの場所だったが8勝7敗に終わり、大関に向けては一から出直しとなった。前半戦は6勝2敗で折り返したが、昇進の目安とされる12勝に向けては微妙な星勘定となった。そして後半戦は10日目に勝ち越しを決めたものの翌日から5連敗し、まさかの大失速で場所を終えた。

 内容に関しては序盤は3日目は隆の勝に敗れたものの、前に出る相撲が取れていた。しかし2敗目となった7日目の安青錦戦から立ち合いの踏み込みが弱くなった。そして分岐点となったのが8日目の琴栄峰戦だった。踏み込みが甘く、琴栄峰に左を差されて右上手を取られると廻しを取れず、土俵際に詰め寄られた。しかし左から掬うと右へ回り込んで右から突き落とし、辛うじて連敗を免れた。しかし勝ったことを除けば良かった部分は何一つなく、後半戦に向けて大きな不安が残った。またこの後立て直せれば全く問題なかったのだが終盤に崩れてしまった。

 気になったのが部屋付き親方で指導する元関脇宝富士の桐山親方のコメントである。「負けた相撲は一方的な相撲。立ち合いで当たり負けすると、そのまま負けるパターンが多い。常に圧力を掛けられるようにしないと」とこれまでの敗因を指摘した。そして「稽古場でもいい相撲は取っていない。体があって前に出るようになったとは思うんですけど、まだ甘い部分はいっぱいある。もっとそれを突き詰めていくこと」と注文を付けた。

 結局本場所での結果以前に、稽古に対する姿勢が物足りないということである。また常に考えながら稽古に取り組んでいれば、大関獲りの場所で5連敗する訳がない。よって稽古への取り組み方と考え方を見直す必要性を感じる。その意味では大関獲りが振り出しに戻ったのは悪くなかったかもしれない。

 来場所は出直しとなるが二桁勝利を挙げ、再度大関昇進への起点を作りたい。それでも能力が高く、大関候補の一番手であることに変わりはない。今場所の失速がいい経験になったと言えるように稽古に取り組んで欲しい。