2026年5月場所個別評価 炎鵬

 今場所は3年ぶりに関取に復帰したが8勝7敗で勝ち越した。5連勝スタートを切り、前半戦は6勝2敗で折り返した。そして後半戦は9日目に7勝目を挙げるも給金相撲は3連敗して苦しんだ。しかし13日目は明生を下手投げで破り、関取としては2023年3月場所以来19場所ぶりの勝ち越しとなった。

 内容に関しては懐に入っての左差しの相撲と押し相撲で白星を挙げていた。また押し出しで5番勝っており、増量に加えて伊勢ヶ浜部屋に転籍したことで相撲の取り口が変わってきた。以前より前に出る相撲が取れるようになった印象がある。

 相撲に関しては初日の栃大海戦は左前廻しは取れなかったものの、栃大海の懐に入って揺さぶると最後は栃大海の引きに乗じて一気に押し出した。4日目の大花竜戦は当たってすぐに懐に入り、左を深く差して下手を取った。得意の形である。その後左下手投げで揺さぶると最後はとったりで大花竜を土俵に這わせた。鮮やかに決まり、取組後は大きな拍手が上がっていた。そして13日目の明生戦は懐に入ろうとしたものの明生に見られ、お互いに見合っての突き合いとなった。その後明生が右からいなすと大きく泳いだ。そして明生がすかさず寄ったものの土俵際で左を差すと明生が構わず寄ってきたところを掛け投げ気味の左下手投げで逆転勝ちし、勝ち越しを決めた。全体として見ても押されにくくなっており、今後に向けて楽しみである。

 また伊勢ヶ浜部屋に転籍したことで厳しい稽古で揉まれており、地力を付けたことが勝ち越せた要因である。伊勢ヶ浜部屋の関取は一場所で幕下に逆戻りする力士はおらず、力を付けてから上がってきている。そして先場所は心不全で全休し、幕下転落の危機だった翠富士は9勝6敗で勝ち越した。以前は伯乃富士も幕下陥落の危機を乗り越えており、稽古の貯金があるからこそ幕下に落ちないと私は見ている。

 来場所は西十両11枚目となったが、番付が上がったので思い切って自分の相撲が取れそうだ。あとはできればもう少し体重を増やしたい。以前より前に出る意識が強くなっており、その点で期待が持てる。そして十両に上がったからには目標は幕内復帰である。そのためには一点の勝ち越しではなく、二桁勝って番付を大きく上げたい。