2026年5月場所個別評価 美ノ海 

 今場所は東前頭6枚目だったが9勝6敗という成績だった。序盤から白星が先行し、前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は役力士にぶつけられたが12日目は琴櫻の休場による不戦勝で勝ち越しを決めた。

 内容に関しては左前廻しを取っての相撲と押し相撲で白星を挙げていた。6日目の朝白龍戦は当たってすぐに左前廻しを取ると朝白龍の左右からのおっつけをこらえた。そして機を見て右から押し上げた後の左出し投げで崩して寄り切った。朝白龍は四つに組むと強さを発揮するが、相撲の上手さと技量で朝白龍を寄せつけなかった。11日目の熱海富士戦は当たって素早く左前廻しを取ると熱海富士の左からの引っ張り込みをこらえつつ寄って前に出た。その後左上手出し投げで崩して寄り切った。熱海富士の引っ張り込みを自分の相撲を取りながら封じており、その点で見事な内容だった。そして14日目の豪ノ山戦は豪ノ山の突き起こしをこらえると押し合いといなし合いの激しい攻防となった。そして左前廻しを取ると右から押し上げ、最後は浅いモロ差しで寄り倒した。美ノ海の右足が勇み足ではないかと物言いが付いたが軍配通りとなった。取組後は「ああなる前に攻めていければ一番いい。頭を上げないように。何回も引きたかったけど、引いたら一気に持って行かれる。我慢ですね」と語った。コメント通り引かなかったことが勝因である。また楽をしては勝てないというのを本人が分かっており、その点で非常に好感が持てる内容だった。そして左ヒジと手首を痛め、春巡業は全休して治療に専念した。場所前は関取衆と稽古ができるまでに回復し、7~8割くらいという回復具合で臨んだようだ。観た限りでは普通に使えており、本来の相撲が取れていた。

 来場所は番付を上げ、2場所ぶりの新三役を懸けた場所となる。おそらく上位総当たりになると思うので、上位力士をどれだけ倒せるかが焦点となりそうだ。力を付けており、流れとしては悪くない。年齢は33歳であり、ベテランの域に入ってきているのでこのチャンスを何とかモノにしたい。相撲の上手さがある一方で愚直に相撲を取っている印象もあり、応援したくなる力士である。