2026年3月場所個別評価 琴勝峰

 今場所は西前頭5枚目だったが11勝4敗の好成績で3回目の敢闘賞を受賞した。4連勝スタートを切り、前半戦はトップタイの7勝1敗で折り返した。そして後半戦は9日目に勝ち越しを決めたが10日目は宇良に敗れて2敗目となった。翌日からは番付上位の力士との対戦が続いたが11日目は大関安青錦に勝つなど星を伸ばした。しかし13日目からは連敗し、2度目の優勝とはいかなかった。千秋楽は朝紅龍を立ち合いの右変化で突き落とし、三賞受賞を決めた。また来場所の新三役が濃厚となった。

 内容に関しては恵まれた体を生かした攻めと守りの相撲で白星を挙げていた。特に良かったのが4日目の王鵬戦と11日目の安青錦戦である。王鵬戦は埼玉栄高校の同級生対決ということもあり、熱戦となった。お互いに頭からぶつかり、激しい押し合いとなったが王鵬が押し込んだところを琴勝峰が右へいなした。その後も頭でぶつかり合う攻防から王鵬が押し込み、土俵際で琴勝峰の体がのけぞったので王鵬が勝ったかと思った。しかし琴勝峰は背中が柔らかい。のけぞりながら残すと左へ体を開いて王鵬を這わせた。最後は琴勝峰らしい勝ち方だったが、それまでは男同士の意地のぶつかり合いといった内容であり、今場所の好勝負の一番と言っていいと思う。安青錦戦は安青錦の低い当たりに思わずまともに引いてしまった。しかし両足を俵に乗せて突き放して反撃すると左へ回り込んで叩き込んだ。手足の長さと横への動きの速さを存分に生かした内容だった。去年の7月場所は平幕優勝を果たしたが、その時の経験を生かして相撲を取っていた感じがする。また立ち合いはしっかり当たれており、力を付けてきた印象である。

 また千秋楽の朝紅龍戦の変化に関しては朝紅龍の当たりが低すぎたのでとっさに体を開いてしまったようである。形としては良くなかったが柔軟な相撲を取るタイプであり、これは仕方がないと私は思っている。とにもかくにも三賞だけでなく新三役に向けても大きな11勝目となった。

 来場所はようやくといった感じだが三役に上がれそうだ。ただ個人的には三役になったからといって意識するのではなく、まずは自分の力を発揮して欲しいと考えている。また初日から上位力士との対戦が続くので星勘定よりも力試しのつもりで土俵に上がって欲しい。観ている方からしても自分の相撲の形が少しずつできてきた感じがするので今後が非常に楽しみである。