2026年1月場所個別評価 朝乃山

 今場所は東前頭16枚目であり、9場所ぶりの再入幕となったが9勝6敗という成績だった。前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は連勝し、11日目に勝ち越しを決めた。しかし終盤は3連敗し、二桁勝利には届かなかった。

 内容に関しては左四つに組み止める相撲で白星を挙げていた。11日目の平戸海戦は左前廻しを許したものの右をねじ込んで腕を返すと左上手を取り、万全の体勢で寄り切った。またこの日は2017年に40歳で急逝した富山商相撲部時代の恩師・浦山英樹さんの命日だった。一時は四股名を「朝乃山英樹」と名乗っており、朝乃山にとって恩人である。また本場所に持参する巾着には病床で書かれた手紙が入っており、横綱昇進や富山のスターになることを期待する内容のようだ。そして時折目を通して自らを奮い立たせているらしい。「1月21日」という特別な日に区切りとなる給金直しとなった。

 やはり元大関ということもあり、平幕下位では力が違った。力量的にももっと上の番付で取るべき力士である。ということで優勝争いに加わったことよりも終盤の3連敗の方が気になった。特に13日目の高安戦と14日目の若元春戦はいずれも差し手争いに負けての完敗だった。また両者共に真っ向勝負で臨んでおり、現時点の実力が分かる内容だった。しかし本場所で対戦しなければ分からないことなので、三役力士と対戦できたことに意味があると思っている。次はもっと立ち合いの当たりを鋭くして、差し手争いで勝てるようになりたい。

 また負けた相撲に関してはいずれも左上手を取れていなかった。左膝を痛めているので右を差すだけだとどうしても逆転負けを食ってしまう。よって今度は左上手をしっかり取るか、それができなければ相手を正面に置いて速い相撲を取ることが求められる。どちらの相撲を取るにしても立ち合いの圧力を元に戻すことが前提となる。

 来場所は西前頭12枚目となったが今度こそは二桁勝利といきたい。そして結果だけでなく、役力士と対戦した上での二桁勝利を期待したい。左膝の状態は良くなさそうであり、大幅な良化はおそらく見込めないと思われる。よって先を見据えるのではなく、目の前の一番一番に全力を尽くして欲しい。強い覚悟を持って土俵に上がっており、私としても覚悟を持って土俵を見守りたい。