2020年9月場所個別評価 朝乃山
朝乃山は9月場所は10勝5敗という成績だった。両横綱が休場で番付最上位として期待が高かった。しかし何と初日から3連敗。これで自分の相撲を見失ってしまった。4日目からは連勝し、11日目に勝ち越しを決めた。後半戦は得意の上手投げを見せるなど本来の相撲が見られた。しかし終盤2日は連敗し、10勝5敗で場所を終えた。
内容に関しては序盤の3連敗は相手に研究されて負けたという相撲内容だった。初日の遠藤戦は突き押しで攻めるも押し切れず、攻防から左からの上手投げで決めようとしたが逆に掬い投げを打たれて土俵に転がった。いつものように深い上手であり、そこを遠藤に深く差された。遠藤は朝乃山の隙を見事に突いての勝利だったと思う。2日目の隆の勝戦は右差しを殺され、はずおしから左を差され、そのまま寄り切られた。隆の勝に右差しさえ許さなければ何とかなるという相撲を取られてしまった。3日目の照ノ富士戦はもろ差しになり、絶好の体勢かに見えたが照ノ富士に左上手を取られたからだと思うが寄らずに左からの掬い投げを選択。しかし照ノ富士に残され、逆に上手投げを打たれて土俵に転がった。冷静に見れば照ノ富士に動きを見透かされた一番だった。技術的な部分でいえば左上手は横からではなく、白鵬のように浅い上手を取って欲しい。それが完成すれば相手も攻め手がなくなる。また2日目に関しては右差しにこだわるのではなく、時には左から差すといった攻めも悪くない。その部分も含めていい経験になったと思う。あとはこの経験を今後に活かしたうえで技量を高めてほしい。終盤の連敗に関しては相手の調子が良かったので仕方がないという内容だった。
11月場所に関しては序盤の取りこぼしをなくし、優勝争いに絡んでほしい。ただ朝乃山は体格は申し分ないが学生時代を含めて経験がまだまだ足りない。個人的には1年くらい時間をかけて力を付けていけば良いのではないかと思っている。あとはやはり技術の向上である。左上手の取り方、廻しの切り方、不利な体勢になった後の挽回の仕方など課題はたくさんある。経験を積みながら稽古と本場所の土俵で力を付けていってほしい。その先に横綱という地位が待っていると私は思っている。
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