2025年11月場所個別評価 霧島

 今場所は東前頭2枚目だったが11勝4敗の好成績で3回目の敢闘賞を受賞した。敢闘賞は5場所ぶり、三賞は今年5月場所で技能賞を受賞して以来3場所ぶりとなった。前半戦は4勝4敗と目立った成績ではなかった。しかし後半戦は白星を並べた。千秋楽は勝てば三賞という条件付きだったが宇良を押し倒して受賞を決めた。

 内容に関しては四つに組み止める相撲と押し相撲で白星を挙げていた。前半戦は琴櫻には勝ったものの両横綱と場所後に大関に昇進した安青錦には勝てなかった。横綱戦はいずれも完敗だった。特に大の里戦は9連敗であり、一つも勝てていない。そして相撲を見ても力の差が広がっているように感じる。また安青錦戦は突き起こしに行ったものの上体を起こせなかった。これで対戦成績は3戦3敗となった。普通に考えれば大関復帰に向けてはこの3人のいずれかに勝てなければ見えてこない。また霧島より若いのでハードルはかなり高い。地力は認めるが、今の相撲内容では大関復帰は厳しいと見ている。もう一段レベルの高い相撲が求められる。

 その一方で終盤は好調力士相手に格の違いを見せた。14日目の時疾風戦は当たってすぐに右前廻しを取ると左を差して時疾風に右上手を与えず、最後は右上手投げで体を預けた。4敗同士の対戦だったが、力が違ったという感じである。千秋楽の宇良戦は重心の低い宇良を粘り強く突き立て、相手の引きに乗じて押し倒した。厳しい相撲を取り、流石は元大関という内容だった。

 来場所は2場所ぶりの関脇となったが二桁勝利を挙げ、大関復帰への起点を作りたい。また先述の通り横綱に勝つのは難しそうなので安青錦に勝ちたいところだ。四つに組むと内無双があるので、やはり突っ張って上体を起こしたい。今場所の義ノ富士のような相撲が取れれば勝ち目も十分ある。あとは細かな怪我が多くなってきているので万全な状態で本場所初日を迎えて欲しい。