木崎海引退について 受け身その3 最後に
4人目は元関脇逸ノ城である。現役力士であり、9月場所は4場所ぶりに幕内に復帰した。年齢は27歳である。またモンゴル人力士であり、身長192センチ、体重201キロの巨漢力士である。相撲の取り口は右四つに組み止めてから寄る相撲を得意としている。
逸ノ城の相撲を観て思うのは土俵際で粘らない潔さである。時に淡白に見えるが無理に残して怪我をするよりはこのほうが良いのではないかと最近思うようになってきた。どうやらこの背景には鳥取城北高校時代に石浦監督から受けた技術指導が影響しているみたいだ。石浦監督は足腰の強さに頼って無理に残さず転がるべき時には転がること、抱えずに差すことを指導しているらしい。大相撲を観ていて思うのだが足腰の強い力士ほど土俵際で粘り、大怪我をしてしまうことが多い。その一方で粘らない力士のほうが結果として現役生活を長く続けているイメージがある。多分逸ノ城は今でも石浦監督の指導を忠実に守っているのだと思う。
逸ノ城と同じくモンゴル人で巨漢力士と言えば照ノ富士がいる。照ノ富士は7月場所で平幕優勝を果たしたが膝の大怪我で一時は序二段まで番付を下げた。相撲の取り口も照ノ富士は抱え込んだり粘ったりするのでどうしても怪我が多くなる。一方逸ノ城は基本的に抱え込む相撲は取らないので怪我をするリスクは少ない。
巨漢力士は年齢を重ねると自身の体重との戦いになるが逸ノ城には当てはまらないような気がする。再び上位で活躍するかは別にして長く現役を続けられそうな相撲を取っている。最近の逸ノ城は太りすぎては減量を繰り返しているが長い目で見れば悪くないと思う。巨漢力士なので怪我には特に注意して相撲を取って欲しい。
4力士を取り挙げたが、おそらく指導者からは「土俵際は断崖絶壁だと思え!」などと言われていると思う。しかしそれを無視し、勝てる相撲に集中している力士が現役を長く続けている感じがする。相撲ファンの一人としても土俵際の粘りは、時にヒヤリとすることがある。勿論それが相撲の醍醐味ではあるが木崎海のように一番の相撲で現役生活を終えるようなことはあってはならない。それと同時に怪我をしないような相撲を取ることが大切である。
最後に現役力士には受け身の大切さを学んでほしい。特に若手力士はぶつかり稽古で受け身の動作を体に覚えさせたい。また木崎海は第二の人生が少しでも明るくなることを祈っている。
終わり
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