阿炎は大関に上がれるのか? 不祥事 その1

 そして触れない訳にはいかないのが不祥事の件である。まずは2019年11月場所前に若元春との悪ふざけで口や手足をガムテープなどで縛ったお互いの姿を撮った動画をアップロードしたことがネット上で非難され、問題となった。結局師匠が理事に謝罪し、後日当人が協会幹部に謝罪し、始末書を提出して厳重注意処分を受けた。この件を受けて相撲協会は個人的なSNSの利用を自粛することを求め、禁止となった。ただし部屋のホームページや引退相撲が控えている親方には許可している。いずれにしても波紋が広がったことは間違いない。悪ふざけに留めておけば問題なかったが、動画をアップロードしたことがまずかった。

 その後に起こったのが新型コロナウイルス対応ガイドライン違反である。2020年7月場所中に師匠が事態を把握したため、師匠の判断で7日目から休場となった。そして場所後の理事会で議論となった。コンプライアンス委員会の処分答申書は「二場所出場停止。その後に引退届を受理」というものであった。答申書では7月場所前に2回、そして場所中に2回、夜の接待を伴う飲食店に通っており、そのうち場所中の24日は言っていない旨の嘘をついていた上に同伴していた力士に対し、この内容の口裏合わせを働きかけたとしている。当初、阿炎は謝罪文を提出し、師匠の指導の下引退届を提出していた。しかし聴取の結果虚偽発言であったことが分かり、悪質であるとされた。また度重なる不祥事であり、引退届を受理すべきとの意見もあったが協会内外で阿炎の現役続行を望む声が多かったことから、採決の結果阿炎の引退届は未受理となり、処分は三場所出場停止、五か月50%の減俸処分となった。なお今後、程度を問わず協会に迷惑をかける行為を行った場合には預かっている引退届を受理することと、またそのことを了承する旨の誓約書を提出すること、住居を錣山部屋に移し、師匠の監督下に入ることを条件とした。そして当面の間は外出禁止となった。また芝田山広報部長は「最低でも半年は師匠の監督下で教育してもらう」と語っている。

続く