阿炎は大関に上がれるのか? 相撲の取り口

 相撲の取り口に関しては以前は師匠の元寺尾譲りの回転の速い突っ張りからの引き技を得意としていた。しかし出場停止明けからはのど輪押しを主体とした突き押し相撲に変わり、引く相撲は格段に減った。3月場所の新番付発表後の会見で本人が語っていたが、動画を見て元横綱曙に心酔しているようだ。確かに手足が長く、突き押しが得意というのは曙と同じである。またスピードが速いので回り込んで勝つ相撲も時々観られる。突き押し主体ではあるが廻しを取っての出し投げもあり、相撲センスを兼ね備えている力士である。

 やはり出場停止処分を機に心機一転というのがあったのだと思う。あくまで自分の推測だが、お手本としていると思われる元横綱曙の相撲は師匠に言われたからではなく、自ら考えたものではないか。そしてその理想に近づけるべく、下半身を中心とした稽古に励んでいるようだ。以前は引いてでも何でも勝ちさえすればいいという姿勢が土俵にも表れていた。しかし今は違う。曙のように何が何でも土俵の外に弾き出すという強い気持ちで相撲を取っている。またそのためには何をすればいいのかを考えているのがよく分かる。

 そして以前の阿炎は師匠以上に体格に恵まれているにも関わらず師匠のような相撲を取っている点で個人的には少し違和感があった。相撲は決して単純なものではないが、それでも一気に前に出るスピードがあれば番付が上がるのは昔も今も変わらない。また今の相撲に磨きをかければ結果は自ずとついてくるのでより一層の精進を期待したいところだ。