四股名はどうなる? 草野 新十両優勝を決めた2025年3月場所12日目の狼雅戦

 この場所は新十両であり、西十両14枚目で迎えていた。そして初日から10連勝し、1場所15日制となって以降の連勝記録9を更新し、最長連勝記録を樹立した。そして内容でも圧倒しており、優勝争いでも独走状態となった。12日目は3敗で追う志摩ノ海、日翔志、英乃海が取組前に敗れ、同じく3敗の狼雅に勝てば優勝という一番だった。そして狼雅は幕内を7場所務めた実績があり、怪我でこの場所は十両に番付を下げていた。ということで経験者相手にどれだけ相撲が取れるか注目された。

 相撲は当たってすぐに右四つに組み、互いが上手が取れない状態になった。動きが止まり、その意味では狼雅が少しだけ有利な体勢に見えた。一方草野がどう動くか興味があった。すると早業で左を巻き替えた。一方狼雅は草野の上体が起きた隙を見逃さず、左おっつけから一気に前に出た。しかし草野は土俵際で逆転の右下手投げを決めた。そして新十両初日からの連勝記録を12に伸ばすとともに十両優勝を果たした。また12日目での十両優勝は史上3人目となった。

 勝因は二つある。一つは左巻き替えである。動きが止まったままでは狼雅が少しずつ体勢を有利に持っていくパターンになる。おそらくすぐの巻き替えは狼雅は予測していなかったと思う。攻められたものの、狼雅は体任せに動いたようにも見えた。勝機を見出し、自分の流れに持ち込んだ。そしてもう一つは右下手投げである。思い切っての投げは体の柔らかさがなければ決まらない。そして狼雅の体が裏返っており、物言いを付けさせなかったのも流石である。相撲センスの良さと身体能力の高さが導いた白星と言っていいと思う。

続く