2022年1月場所個別評価 王鵬

 今場所は新入幕の場所だったが7勝8敗で負け越した。3連勝スタートとなり、前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦も連勝し、10日目に7勝目を挙げ、勝ち越しに王手を懸けた。しかし11日目からはまさかの5連敗となり、千秋楽に負け越しが決まった。

 内容に関しては馬力を前面に出した押し相撲が光った。初日の魁聖戦は強烈な左からのおっつけで相手を横に向かせ押し出した。8日目の一山本戦は立ち合いでぶちかましてから電車道で一気に突き出した。10日目の千代大龍戦は意外にも四つに組む展開となった。千代大龍に左を深く差されたが王鵬が右からおっつけると千代大龍の足が揃い、そこを叩き込んだ。能力的に通用していたのは確かである。それではなぜ負け越したのか?。それはやはり場所を通してのスタミナが足りなかったということに尽きる。前半戦から攻防のある激しい相撲を取っていたので終盤は疲れが溜まり、体が動かなくなってしまったということだと思う。決して勝負弱いというレベルの問題ではない。振り返れば今場所は十両中位からの新入幕ということで番付的に少し恵まれた部分があった。その上十両上位の経験もない。やはり対戦相手が急に強くなったので終盤は対応できなかったと見ている。ただ幕内力士と対戦した経験はやはり大きかったと思うし、来場所以降に活かしたい。

 来場所は東十両筆頭ということで勝ち越せば幕内復帰となる。本来なら出稽古に行って力を付けたいところだが、コロナ禍が続いており、それは叶わない。部屋での稽古で準備していくしかない。しかし先程も触れたように王鵬は十両上位の番付の経験がない。その意味では真価が問われる場所となりそうだ。能力の高さは認めるが、簡単に勝ち越せるほど甘くはないと思う。幕内に一場所で戻るという強い気持ちを持って臨んでほしい。