2025年7月場所個別評価 御嶽海

 今場所は西前頭16枚目であり、再入幕の場所だったが10勝5敗の好成績だった。初日から6連勝し、序盤戦の主役となった。そして前半戦を6勝2敗で折り返すと後半戦は連勝し、10日目に勝ち越しを決めた。しかし翌日からは連敗し、優勝争いから脱落した。それでも千秋楽は時疾風を押し出し、新大関だった2022年3月場所以来となる約3年ぶりの二桁勝利となった。

 内容に関しては押し相撲に安定感があった。5日目は今場所優勝の琴勝峰に対し二本差すと琴勝峰が右に回り込むのについて行き、粘られたものの最後は落ち着いて押し出した。10日目は十両の湘南乃海戦だったが当たって左を差し勝つと右上手を取って一気に寄り切った。そして13日目の狼雅戦は突き起こして右へいなしたものの相手得意の右四つに組まれ、勝手が悪くなったかに見えた。しかし右下手は許さず、機を見て右上手を取ってからの投げで狼雅を転がした。このあたりは経験であり、流石は元大関である。不利な形になりながらも逆転できるのが今場所の好調さを物語っている。また前に出る自分の相撲が取れており、自信を取り戻したようである。

 今場所のような相撲が取れれば来場所も二桁勝利が期待できそうだ。また稽古場で取り組んできた地道な努力が土俵に表れているように見えた。よってもう少し現役生活が長く続けられそうな気がする。能力的にはここで終わってしまうような力士ではなく、まだまだ頑張って欲しい。