2025年7月場所を振り返って 優勝争い 13日目 琴勝峰ー大の里戦

 そして琴勝峰は結びで大の里戦だった。過去の幕内での対戦成績は大の里の2戦2勝だが、十両では優勝決定戦を含めて琴勝峰の2戦2勝である。勿論大の里の方が格上だが、大の里は前日は悪癖のまともな叩きを見せており、その部分で琴勝峰に付け入る隙はあると見ていた。

 相撲は琴勝峰は立ち合いで右差しを選択し、大の里に当たり勝った。ただ大の里も当たり負けはしたものの右は差しており、右下手を取って一気に前に出た。しかし琴勝峰は当たってすぐに左上手を取ったことが大きかった。そして取れたことで大の里に寄られたところで左へ体を開いての投げに切り替えた。また体を開かれたので大の里は左からの攻めが使えない。土俵際で粘ったものの、最後は上手投げで土俵下に転がり落ちた。

 勝った琴勝峰は2敗を守ると同時に嬉しい初金星となった。前日は高安に勝ったものの押し込まれており、その反省を生かした立ち合いだった。また立ち合いで鋭く踏み込んでおり、左上手を取ったことが勝因である。そして上手さえ取れれば振り回す力が強い。勝つにはこれしかないという形に持ち込めた。ちなみに先述の十両での優勝決定戦でも同じような形で左からの上手投げで勝っている。

 一方負けた大の里は4敗目となり、優勝争いから脱落した。立ち合いの当たりが弱く、新横綱の重圧からか恐る恐る相撲を取っているように見えた。また前日は取り直しの末に一山本に勝ったものの、相撲内容は良くなく、その流れで負けたということかもしれない。昨日の審判部の温情ともいえる取り直しを生かすことはできなかった。

 12日目終了時点で2敗は安青錦と琴勝峰の2人、3敗が熱海富士と草野の2人となり、事実上優勝争いは平幕の4人に絞られた。私的には13日目は安青錦が単独トップに立つと予想していたので琴勝峰の勝ちが意外だった。それでも優勝争いは安青錦が有利だと思っていた。また14日目は安青錦は草野戦、琴勝峰は霧島戦、そして熱海富士は高安戦が組まれた。

続く