2022年1月場所個別評価 貴景勝

 今場所は1勝3敗11休という成績に終わった。来場所は5度目のカド番となる。初日は若隆景戦だったが目の覚めるようなぶちかましから一気に押し出し、好スタートを切ったかに見えた。しかし2日目は明生に逆転の突き落としで敗れて初黒星。翌3日目の宇良戦は最初の一番で右足首を痛めた。そして取り直しの相撲は押し倒しで敗れて2敗目。4日目からは休場となった。

 明生戦はともかく、宇良戦のように廻しを取られるとやはり苦しくなる。また背が低く、手足も短いので廻しを取られた場合は突き落としくらいしか勝つ方法がない。勿論廻しを取られずに押し出すのがベストだが、廻しを取られないための努力はしていると思う。相手との駆け引きも上手い。また廻しをあまり取られない場所は好成績を挙げている。貴景勝の調子を計る上でのバロメーターでもある。ただ相手もどうすれば廻しを取れるかを研究してくるので毎場所安定した成績は残せない。大関昇進後は2場所連続で2桁勝利をマークしたのは1回しかない。おそらく今後もこのような傾向は続くと思う。おそらく精一杯努力しての結果なので身体的な部分を含めて考えても横綱は厳しくなってきている。

 来場所はカド番となるが実力的にはカド番脱出は問題ないと見ている。自分の相撲が取れればクリアできると思う。そして突き押し得意の力士なので波に乗れば去年の11月場所のように優勝争いも可能である。また安定感には欠けるものの歴代の大関と比べても力は上位である。横綱は難しいかもしれないが、あと1,2回は優勝してほしいところだ。それくらいの実力は持っている。ということで3月場所はカド番脱出だけでなく、優勝争いを期待したい。