負けん気の塊! 若碇改め藤ノ川 最後に

 番付発表時に改名は決まっていたと思うが、その後の6月6日に先代藤ノ川の服部祐兒さんが64歳の若さで死去した。服部さんは柔道で活躍したが、同志社大学進学後に相撲に転身して才能を開花させた。そして2年次と4年次に学生横綱、3年次と4年次にアマ横綱など、当時の史上最多の17タイトルを獲得した。昔でいえば元大関朝潮や元幕内久島海と並んで鳴り物入りでの入門であり、騒がれたことは今でも覚えている。結局腰痛が原因で大成はしなかったものの、私の記憶には強く残っている。また当時を知っている相撲ファンの多くが服部さんのことを覚えているはずである。本人が語っていたように、藤ノ川への改名には運命的なものを感じずにはいられない。

 今場所は8日目終了時点で5勝3敗と白星が先行している。7日目は全勝の御嶽海を右変化から突き落としで破り、存在感を見せている。

 体は小さいが目指すは琴錦のような速攻相撲である。そして連続攻撃には無駄がなく、非常に上手い相撲を取る力士である。無駄な動きをして墓穴を掘るような相撲はほとんど見られない。これまでの相撲を観た限りでは他の力士ができないような動きを見せており、能力の高さを感じる。

 勿論藤ノ川の四股名を頂いたからには名前負けしない内容が求められる。ただ年齢は20歳と若く、当然ながらまだ底を見せていない。また将来的には三役より上に上がる可能性もあると見ている。そうなった場合は「柏戸」襲名といった流れも考えられる。

 少なくとも父の番付(東前頭11枚目)を上回ることはほぼ確実であり、最低でも上位力士と対戦する位置までは上がりそうだ。焦点はその後どこまで番付を上げられるかである。未知の魅力を持っており、両横綱より年齢が若いことを含めて目が離せない存在となりそうだ。

終わり