2021年11月場所個別評価 佐田の海

 今場所は9勝6敗という成績だった。5場所ぶりの幕内での土俵となったが4連勝スタートとなり、前半戦は6勝2敗で折り返した。そして後半戦は連敗するもその後は連勝し、12日目に勝ち越しを決めた。本人にとっては幕内として九州場所では初めての勝ち越しとなった。13日目からは連敗したが千秋楽は勝ち、結局9勝で場所を終えた。

 内容に関しては本人が語っていたように体の動きも相撲内容も良かった。やはり持ち味は右を差しての速攻相撲である。そして相手の動きを見ながら手繰ったりするのも得意である。また阿武咲同様、短い相撲を心掛けており、観ていて気持ちのいい力士である。よく頑張ったのは7日目の輝戦である。突き合いから手繰って二本差したが輝に外から抱えられた。苦しい体勢となったが差し手を抜こうとするとヒジが極まってしまう。一呼吸置き、更に深く差すと最後は左廻しを取って寄り切った。一方惜しかったのが5日目の千代の国戦と14日目の翔猿戦である。千代の国戦は最初の一番は相手の突き押しに後退するも右を差して体を入れ替え、前に出たが物言いの末、取り直しになった。そして取り直しの一番は突き合いから逆に千代の国に右四つに組み止められ、寄り切られた。最初の相撲は攻めていた分、佐田の海の勝ちでもよかったような気がするが・・・。審判が決めることなので仕方がない。翔猿戦は相手が軽量ということもあり、押してそのまま前に出たが土俵際で叩き込まれた。物言いが付いたが軍配通り翔猿の勝ちとなった。いずれも相撲内容は悪くなく、その意味で個人的には2桁勝ってほしかったと思っている。

 1月場所は東前頭11枚目となったが再度勝ち越し、番付を上げたいところだ。やはり新三役を目標にしているようだが、そのためには平幕上位に番付を上げないことには始まらない。現在は運で新三役に昇進できるような状況ではなく、それ相応の実力が求められる。年齢は34歳とベテランの域に入ってきているが、あと1,2年に集中して新三役昇進に向けて努力したい。父も元小結であり、父に並ぶという意味でも、もうひと頑張りを期待したい。