2025年5月場所個別評価 草野
今場所は西十両筆頭だったが13勝2敗の好成績で2場所連続十両優勝を果たした。また新十両からの連覇は平成以降では久島海、雅山、翔天狼以来16年ぶり4人目となった。
初日は英乃海に押し出され、黒星発進となった。しかし2日目からは9連勝し、単独トップに立った。11日目は友風に敗れて2敗となったものの単独先頭は譲らず、千秋楽は剣翔に完勝の内容で優勝を決めた。
先場所は14勝であり、新入幕の可能性もあったが筆頭に据え置かれた。この時点で先場所のように快進撃を続けるのは想像できた。ただ先場所は十両上位力士との対戦が少なく、今場所は全ての力士と当たることになる。よって同じく十両力士との対戦が続く前半戦がポイントと見ていた。しかし結果は初日こそ不覚を取ったものの2日目以降は圧倒しており、やはりここでは力が違った。
内容に関しては右四つの相撲と投げ技で白星を重ねた。また「前に出て勝つ。真っすぐ下がらず、土俵を丸く使って動く」ことを心掛けたようである。先場所は力の違いを見せており、相手に右差しを封じられるなどマークされた。しかし押し相撲や上手からの相撲に切り替えるなど臨機応変に対応していた。勝った相撲の中で唯一危なかったのが10日目の大青山戦である。体の大きい相手に左を深く差された上に下手を取られた。しかし右から抱え込みながら右へ回り込んで残すと豪快な小手投げで裏返しにした。不利な体勢になっても守りの相撲が取れるのも魅力である。また負けた相手はいずれも実績のあるベテランに上手く取られた印象であり、気にすることはない。
来場所は新入幕となるが三賞の有力候補と言うのは勿論、優勝争いに加わる可能性もありそうだ。大卒ではあるものの相撲の完成度は高くなく、体も大きくなりそうである。年齢も23歳と若く、上位力士の間に割って入ってきそうな存在であり、今後目が離せない。
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