2025年5月場所個別評価 栃大海

 今場所は東前頭18枚目であり、新入幕の場所だったが4勝11敗の大負けとなり、来場所は十両の土俵で出直しとなった。序盤は連勝スタートであり、4日目までは3勝1敗と白星が先行していた。しかしその後は連敗が止まらなくなり、自分の相撲が取れなくなった。千秋楽は獅司に勝って連敗を止め、場所を終えた。

 さて栃大海を紹介したい。栃大海は埼玉県越谷市出身で春日野部屋所属であり、年齢は25歳である。また身長193センチ、体重163キロであり、突き、押しを得意としている。同じく幕内の王鵬と琴勝峰は埼玉栄高校時代の同級生であり、横綱豊昇龍は同学年である。3人と共に入門時から注目されたが一人出世が遅れた格好となった。しかし新入幕ということでようやく追いついてきたという感じである。

 内容に関してはのど輪押しの相撲が通用しなかったことに尽きる。唯一初日の御嶽海戦は当たって突き起こしてからの叩きが決まり、本来の相撲が取れた。ただ御嶽海は元大関とはいえ今場所は十両であり、評価としては微妙である。また10日目は琴勝峰との同級生対決となった。最初の一番は琴勝峰に軍配が上がったが同体取り直しとなった。そして取り直しの一番は栃大海が左上手を取ったものの琴勝峰に右下手を取られると下手投げで裏返しにされた。やはり四つ相撲では琴勝峰の方が一枚上である。

 また千秋楽の取組後は「自分の相撲が取れなかった。もっと立ち合いで距離が取れるように」と語っていた。その通りなのだが、十両で3場所連続勝ち越しての新入幕であり、内容的にも早く番付が上がり過ぎた印象もある。ただ幕内力士の実力を肌で感じたことは今後に向けてプラスになりそうだ。

 来場所は十両陥落となるが二桁勝利を挙げ、一場所での再入幕を期待したい。潜在能力は高いものを持っており、ここで終わるような力士ではない。ということで目先の結果ではなく、先を見据えた稽古をしてほしい。押す力が付けば上で通用する力は持っていると思うが、もう少し時間がかかりそうである。また十両の土俵で揉まれながら力を付けるのも悪くない。大器であることは間違いなく、成長を待ちたい。