大相撲11月場所個別評価 隆の勝

 新関脇だったが8勝7敗で勝ち越した。新三役が関脇だった力士の勝ち越しは平成以降では武双山、逸ノ城、照ノ富士に次いで4人目である。そして今挙げた3人のうち武双山と照ノ富士は大関に昇進しており、データ的には今後が非常に楽しみになったと言っていいと思う。

 6日目までは4勝2敗と白星が先行した。しかし7日目から3連敗し、黒星が先行した。それでもその後は巻き返して12日目から3連勝し、14日目に勝ち越しを決めた。確かに両横綱と2大関との対戦はなかった。その上照ノ富士は終盤に志摩ノ海と対戦したので照ノ富士との対戦も消えた。それでも新三役での勝ち越しは立派である。理由は2つある。一つは大関ほどではないが、狙われる地位だからである。対戦相手も何が何でも勝つという姿勢で向かってくる。それを跳ねのけての勝ち越しは評価できる。もう一つは勝った相撲内容である。得意の押しし相撲で相手を圧倒していた。また仮に横綱・大関と対戦があってもそれなりに白星は挙げていたと思う。役力士の高安と御嶽海には勝っており、能力の高さを証明した。

 内容に関しては素晴らしかった、と言いたいところだがそこまでは褒められない。なぜなら相撲に安定感がなかったからである。相手を正面に置けば押し相撲で力を発揮した一方、間隔を空けられたり体を開かれたりすると引き技を食っていた。ただプラスに考えれば引き技にいつも前に落ちていたわけではない。踏ん張って立て直した相撲もあった。自分でも意識し、努力している跡は見える。

 あとは本人が言うように同部屋の貴景勝との稽古のおかげで押されにくくなった。今場所に関しては押されて負けた相撲はほとんどなかった。力が付いてきている証拠である。唯一納得できなかったのが8日目の妙義龍戦である。相手を見ながら立つも懐に入られ、一気に押し出され、土俵下に転落した。確かに妙義龍が立ち合いで何をしてくるのか分からないというのは理解できる。しかし隆の勝のほうが立ち合いの当たりが強いのは明らかである。もっと自分の相撲に自信を持ってほしい。8日目だけは気持ちの弱さが出た一番だったので少し残念だった。

 1月場所に関しては再度勝ち越し、三役定着を期待したい。また大関を狙える地位ではあるが、本人が言うように意識せずに一番一番に集中したほうがいいと思う。今は大関より得意の押し相撲に磨きをかけるのが一番である。その中で更に白星を伸ばし、相撲に安定感が出てくるのが理想である。まずは相手に引かせる間隔を取らせない相撲を心掛けたい。そしてできれば相手に引かれても前に落ちない稽古を少しだけでもいいので取り組んでほしい。引き技で負ける相撲が少なくなれば大関が近付いてくるといっても過言ではない。1月場所に限らず、来年隆の勝がどういった形で上位陣の間に割って入ってくるかに注目したい。少なくとも上位陣をかき回す存在にはなりそうだ。