2021年11月場所個別評価 大栄翔

 今場所は8勝7敗で勝ち越した。前頭筆頭ということで初日から上位力士と対戦する厳しい番付だったが前半戦は3勝5敗で折り返した。そして後半戦は10日目に若隆景に敗れて7敗となり、勝ち越しに向けて後がなくなった。しかし11日目からは5連勝し、千秋楽に勝ち越しを決めた。5連勝はよく頑張ったと思う。東筆頭での勝ち越しであり、来場所の三役復帰は確実である。

 内容に関してはぶちかましてからののど輪押しは威力があった。初日の正代戦は引き技を残すと一気に攻め、最後は押し倒した。そして負けはしたものの2日目の照ノ富士戦はのど輪押しで土俵際まで押し込み、見せ場を作った。しかし場所全体を通して見ると途中で引き技を見せるなど、攻めにどことなくぎこちなさが残った。おそらく何回も引かれて負けたのが原因だと思うが、それこそ相手の思うつぼである。今のままの相撲では勝ち越すことはできても大勝ちは見込めない。突き押しのスタイルは少し違うが、貴景勝のように相手をよく見ながら突き放すことが求められる。

 1月場所は西小結となったが今場所の相撲内容では勝ち越しは厳しいと思う。また大栄翔は平幕上位で勝ち越してもなかなか三役に上がれず、番付運のない力士とよく言われるが、三役に上がった時に御嶽海のように番付を守ればいいだけのことである。結局番付を守れず、平幕に落ちるから繰り返し同じことが言われてしまう。是非とも今度こそは三役を守り、今場所以上の内容のある相撲を期待したい。また上を目指すという意味では今年は非常に大事な一年となる。危機感を持って土俵に上がって欲しい。