2025年5月場所個別評価 大栄翔

 今場所は10勝5敗という成績だった。5連勝スタートも6日目からは連敗し、前半戦を6勝2敗で折り返した。そして後半戦は9日目は玉鷲に敗れ、優勝と大関昇進に向けては痛い3敗目となった。その後は連勝したものの13日目からの豊昇龍戦、大の里戦は連敗した。千秋楽は琴櫻に勝ち、2場所ぶりの二桁勝利となった。

 内容に関しては突き押し相撲は力強い上に安定感があった。また全て下位力士との対戦だったが5連勝スタートを切り、期待を持たせた。しかし6日目の平戸海戦は立ち合いの当たりが低すぎ、叩き込まれた。翌7日目の若隆景戦は当たり負けし、引いたところを押し出された。そして9日目の玉鷲戦は押し合いとなったがまともに引いたところをそのまま突き出された。結果もさることながら内容も良くなく、これでは大関昇進への気運が高まってこない。また終盤の上位戦も琴櫻以外には勝てず、対豊昇龍戦は9連敗、対大の里戦は3連敗となった。年齢も豊昇龍や大の里の方が若く、動きについて行けてない印象が強い。

 また大関昇進に向けては星を揃える必要があるが、それに加えて上位力士に勝ってインパクトを残す必要がある。ただ現状では琴櫻には勝てるかもしれないが、横綱に勝てる風景が私には見えてこない。普通に考えても伸び盛りとも言える横綱に勝つのは至難の業である。年齢的にも動き負けしてしまうのは仕方がないし、どうしようもない。

 ということで大関に上がる一番の近道は横綱以外に取りこぼしをしないということになる。また一場所だけでいいので図抜けた成績が残せるかという部分である。逆を言えば10勝が二場所、三場所続いているようでは大関は見えてこない。本人が精一杯頑張っているのはよく分かるが、もう一押しが欲しいというのが正直なところである。

 来場所もハイレベルな成績なら大関昇進もあり得るという場所になりそうだ。ただ今場所と違って霧島、若隆景も同じような立場となり、ライバルが増える。よってまずはライバルとの直接対決に勝つことが求められる。大関以上は3人であり、数としては少ないのでチャンスは十分ある。あとは大関に向けて気運が高まる相撲内容を望みたい。