2025年5月場所個別評価 豊昇龍
今場所は横綱2場所目となったが12勝3敗という成績だった。連勝スタートも3日目から連敗し、これ以上黒星が増えれば2場所連続休場という状況に追い込まれた。しかし翌日からは白星を並べ、全勝の大の里を追走した。しかし12日目は霧島に敗れて3敗となり、優勝の可能性がほぼ消滅した。終盤は白星を伸ばし、千秋楽は全勝の大の里を上手ひねりで倒し、大の里の全勝優勝を阻止した。
内容に関しては相手の当たりを受け止めてからの自在性のある相撲で白星を挙げていた。春巡業では稽古をしっかりと積んでおり、優勝はできなかったものの12勝ということで横綱としての役割は果たしたと言える。
ただ序盤の連敗と金星献上は横綱としていただけない。結果として連敗が大の里の独走を許す形になった。やはり原因は精神面である。確かに先場所は途中休場しており、負けられないという気持ちはよく分かる。また気合を表に出すタイプというのも理解している。しかしそれでも表情が険しすぎであり、角界の頂点に立っているのだからもう少し穏やかな表情で相撲を取って欲しい。師匠の立浪親方も気合の入り過ぎを指摘しており、肩に力が入ると叩きを食いやすくなると心配していた。そして連敗は指摘通りの結果になった。その後は少しずつ穏やかな表情になっていたが、これを15日間続けたい。
また3敗目となった霧島戦は張り差し失敗が敗因である。ただ霧島戦の対戦成績は11勝10敗(うち不戦敗1つ)であり、ほぼ互角である。またその時の調子で勝敗が決まる印象がある。よって地力強化をして対戦成績を大きくリードしたいところだ。
大の里の全勝を止めたのは流石横綱であり、相撲を取っての対戦成績は6勝1敗となった。また場所後に大の里が横綱に昇進し、二横綱となった。よって今後二人による優勝争いが予想される。大の里は体が大きい上に弱点を一つ一つ克服して頂点に昇り詰めた。番付下位の力士には圧倒的な強さを見せており、今後も取りこぼしは考えにくい。一方今場所の豊昇龍は相撲内容も12勝である。これが現在の実力であり、更なるレベルアップが求められる。また2回優勝しているがいずれも12勝3敗であり、実力上位ではあるものの圧倒的な強さまでは見せていない。ということで大の里には強いものの、今のままでは今場所のように直接対決の前に優勝を決められてしまう。おそらくこのままでは二横綱の時代ではなく大の里時代が来ると思うので危機感を持ってほしい。序盤の取りこぼしも一つまでにしたいところだ。
来場所は繰り返しになるが大の里との優勝争いを期待したい。過去を見れば二横綱による優勝争いの期間があっても短い。そして一方が優勝回数を伸ばし、一方が優勝できないといった流れになることが多いのでここからが大事である。一人横綱からは解放されたものの、今度は嫌でも大の里と比較されることになるので存在感を示したい。
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