2025年5月場所を振り返って 大の里優勝に関して
2025年5月場所は大関大の里が2場所連続4度目の優勝を果たした。成績は14勝1敗だった。初日から連勝し、12日目終了時点で後続に星3つ差をつけた。そして13日目の琴櫻戦で勝てば優勝だったが一方的な内容で寄り切り、2日を残して優勝を決めた。
これで横綱審議委員会の横綱推薦の内規「大関として2場所連続優勝」を満たし、75代横綱への昇進が確実となった。また師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の引退後、約6年不在だった日本出身横綱誕生となる。
13日目での優勝決定は、2015年1月場所の白鵬以来10年ぶりとなった。日本出身力士に限ると、1996年9月場所の貴乃花以来29年ぶりである。そして横綱昇進が懸かった場所での13日目の優勝決定は史上初めてとなった。
所要13場所での横綱昇進は、年6場所制となった1958年以降では、輪島の21場所を上回る最速記録である。また昭和以降でも羽黒山と照國の所要16場所を上回る。その上初土俵から負け越しなしでの横綱昇進は史上初であり、過去と比べても圧倒的な強さを示してきたことがよく分かる。
千秋楽は豊昇龍に敗れ、全勝優勝こそ成らなかったものの、今場所は大の里の強さだけが際立った場所と言える。勿論文句なしの綱取り成功である。また大の里の横綱昇進は豊昇龍にとっても悪くない。一人横綱の重圧から解放されるからである。確かに大の里は優勝争いのライバルだが、同じく頂点に立ったという部分では同士であり、支え合うこともあると思われる。相撲協会にとってはようやくといった感じの若き二人の横綱の誕生である。豊昇龍は26歳、大の里は24歳であり、横綱とはいえ年齢的には更なる成長が求められる。二人が切磋琢磨しながら横綱としての役割を果たしていくことを期待したい。
続く
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