これぞ理想の横綱! 照ノ富士 横綱として果たした役割
そしてもう一つ伝えたいのが横綱として果たした役割である。白鵬から受け継ぐ形で横綱になった訳だが、白鵬は優勝回数45回の大横綱であり、長い間相撲界を引っ張てきた。またプロ野球ではよくあることだが、トッププレイヤーが引退するとその穴がなかなか埋められなくなる。また存在感が大きすぎるとすぐには埋まらないものである。そして相撲界も白鵬が引退した後は照ノ富士を除く上位力士はどんぐりの背比べであり、若手力士が伸び悩んでいた。しかし照ノ富士が横綱に昇進したことで、白鵬ほどではないにしても、その穴埋めができたと思っている。逆を言えば照ノ富士がもしいなければと考えるとゾッとする。もしかしたら貴景勝が横綱に上がっていたかもしれないが、それでも短命に終わった可能性が高い。そして平幕優勝が増え、これまで以上に土俵が混とんとしていたはずである。
しかし照ノ富士が横綱になったことで土俵が引き締まった。確かに休場は多かったものの、晩年の白鵬と同じく出場した時は結果を残した。また優勝回数10回は横綱として頑張った証でもある。平幕優勝の頻発を防いだ役割は非常に大きい。
そして結果的には豊昇龍が後を継ぐことになったが、若手力士が伸びてくるまで本当によく頑張った。怪我もあり、バトンタッチする前に引退して横綱不在となる可能性もあっただけに協会幹部も感謝していると思う。私としても横綱に頭を下げたいくらいである。
最後に今年3月場所8日目に解説者デビューを果たしたが、説明が分かりやすい上に的確だった。想像はしていたが指導者としての才能もありそうである。今後はおそらく伊勢ヶ浜部屋を継承することになり、師匠になると思われるが今度は指導者として多くの名力士を育てることを期待したい。
なお原稿に関しては自著「奈落の底から見上げた明日」から多数引用し、自分なりにまとめたものである。そしてこの本は読みごたえのある内容となっており、相撲ファンに限らず是非読んで頂きたい本である。
終わり
最近のコメント