2021年9月場所個別評価 遠藤
今場所は11勝4敗の好成績だった。黒星スタートも前半戦は6勝2敗で折り返した。そして11日目に勝ち越しを決めると12日目からは番付上位の力士との対戦となったが隆の勝、霧馬山をいずれも叩き込みで破り、白星を2桁に乗せた。14日目は逸ノ城に敗れ、優勝争いから脱落したものの千秋楽は隠岐の海に勝ち、11勝で場所を終えた。
膝の状態は良くないものの、さすがに前頭2桁まで番付が下がれば力は上位である。相手を見ながら落ち着いて相撲を取っていた。7日目の千代の国戦は右前廻しが取れず、何発も張り手を浴びたものの頭を上げず、最後は右前廻しを取って寄り切った。11日目の魁聖戦は立ち合いから右でおっつけると右から突き落とすと同時に左手で魁聖の左腕を手繰り、懐に入るとそのまま寄り切った。短い相撲だったが上手さが凝縮された一番だった。そして千秋楽の隠岐の海戦は右上手を取り、有利な体勢に持ち込むと相手のバランスが崩れたところで出し投げを打ち、最後は上手投げで仕留めた。あらゆる技を持ち合わせているのが遠藤の持ち味でもあり、魅力でもある。今場所のように調子がいい時は更にそれが際立つ。人気者ではあるが人気だけではない。実力も兼ね備えている。
11月場所は西前頭4枚目となったが、上位力士を倒す活躍を期待したい。ただ去年の9月場所で右膝を痛めたあたりから立ち合いの当たりが弱くなっており、平幕上位に入ると現状では少し厳しいかもしれない。今場所や5月場所のように調子を上げてきたところで上位力士と対戦するのが今の遠藤にとっては理想である。右膝は完治する怪我ではないみたいなので上手く付き合いながらその時のベストを尽くしていくしかない。とは言っても上手さは角界でも随一と言っていいくらいなので、上手さを発揮できるような相撲内容をファンとしては望んでいる。
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