2021年9月場所を振り返って 優勝争い その1
2021年9月場所は新横綱の照ノ富士が2場所ぶり5度目の優勝を果たした。宮城野部屋の力士がコロナ感染したのが理由で白鵬が休場し、一人横綱となったが見事に優勝を飾った。新横綱での優勝は2017年3月場所の稀勢の里以来、史上9人目の快挙である。それでは優勝争いを振り返っていきたい。
白鵬が休場、貴景勝は休場明けでのカド番で体調が万全とは言えなかった。そして正代は3場所連続一桁勝利であり、期待できそうにない。また関脇以下も大関獲りを懸けているような勢いのある力士は一人もおらず、照ノ富士が優勝争いの中心というのは予想できた。
8日目終了時点では照ノ富士がただ一人全勝を守り、1敗で妙義龍、そして2敗で御嶽海など5人が追いかける展開となった。妙義龍は平幕であり、2敗の5人のうち、役力士は御嶽海ただ一人である。照ノ富士の独走ムードが早くも漂っていた。
しかし9日目、照ノ富士は大栄翔に寄り切りで敗れ、横綱として初黒星を喫すると同時に初金星を献上した。伏線は8日目にあった。玉鷲戦だったが玉鷲に左に変わり気味に当たられ、左からのおっつけと右ののど輪で俵に詰まった。しかし両廻しを取り、体を入れ替えて寄り切った。大栄翔は玉鷲同様突き押しを得意としており、参考になった部分があったと思う。相撲は照ノ富士が立ち合いから左前廻しを狙ったが、下がりは取れたものの廻しは取れない。逆に大栄翔に右からおっつけられ、その勢いで下がりが切れると左ののど輪が入り、照ノ富士の体が起きた。そして最後は二本差され、寄り切られた。前傾姿勢を保つのが照ノ富士の相撲の生命線であり、その形が崩れたという意味で完敗だった。しかし1敗の妙義龍も敗れて2敗となり、単独トップはキープした。
続く
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