2025年3月場所個別評価 獅司
今場所は西前頭13枚目であり、再入幕の場所だったが9勝6敗で勝ち越した。前半戦は5日目はここまで全勝の阿武剋を破る活躍もあり、5勝3敗で折り返した。そして後半戦は12日目に若元春を上手出し投げで破り、幕内二場所目で初の勝ち越しを決めた。
内容に関しては右四つの相撲と押し相撲で白星を挙げていた。また先場所十両優勝を果たした実力は本物だった。跳ね返された新入幕の場所と比べても格段に進歩した。私的には押し相撲である程度攻められるようになったことが勝ち越せた要因だと思っている。そして取り口も右を差す相撲と押し相撲、そして投げ技とようやく形ができてきた印象がある。
2日目の宝富士戦は立ち合いから離れた相撲で宝富士の左差しを徹底して封じた。その後右を差したが右上手を取られた上に左も差され、不利な体勢となった。しかし宝富士が出てきたところを左からの思い切りのいい下手投げで転がした。当たって前に出る相撲を取っているからこそ逆転の投げが決まりやすくなる。5日目の阿武剋戦は当たってすぐに右四つに組んだが阿武剋に両廻しを取られ、苦しい形となった。しかし寄られたところで左上手を取って振り回し、体を入れ替えると左腰を突きつけて寄り切った。振り回す力の強さを見せるとともにスケールの大きな相撲を取った。そして12日目の若元春戦は差し手争いを制すると左上手を取り、上手出し投げで土俵の外に出した。前日に右肩を痛めており、左から攻めるしかなかったのかもしれないが、それにしても鮮やかな出し投げだった。
また押し倒しで3番勝っているが、美ノ海戦は右からいなした美ノ海が崩れ落ちた形であり、土俵の外に運んだ訳ではない。また翠富士は小兵であり、遠藤は膝を痛めているということで評価としては微妙である。押し相撲を磨けば身体能力の高さが生きてくると思うので今後も押し相撲の強化を私としては求めたい。
来場所は番付を上げるが再度の勝ち越しを期待したい。また粗削りな部分も見られるが、本場所の土俵で経験を重ねる中で修正していきたい。去年の後半から着実に強くなっており、この先が非常に楽しみである。
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