2021年7月場所個別評価 千代ノ皇

 今場所は西前頭14枚目で25場所ぶりの幕内復帰となったが7勝8敗で負け越した。前半戦は3勝5敗で折り返した。しかし後半戦は巻き返し、13日目は英乃海を寄り切りで破って7勝目を挙げ、勝ち越しに王手を懸けた。しかし終盤は連敗し、幕内での初めての勝ち越しとはいかなかった。

 千代ノ皇は幕内は3場所目だが十両は37場所務めており、十両の力士という印象が強い。しかし最近は力を付けてきており、5月場所は西十両筆頭で11勝を挙げ、再入幕となった。相撲も以前は押し相撲も取っており、引き技も目立ったが最近は得意の右四つの相撲でほぼ勝負している。そして前に出る圧力が増してきた。

 内容に関しては右四つに組み止めて前に出る相撲があった一方、圧力負けした相撲も何番か見られた。そして今場所は土俵際のしぶとさが光った。8日目の琴ノ若戦は物言いが付き、軍配は琴ノ若に上がったが土俵際の投げの打ち合いで琴ノ若の左手が付くのが早く、軍配差し違いで白星を手にした。そして11日目の妙義龍戦も土俵際の攻防で物言いが付いたがうっちゃりで勝利した。稽古量が十分であると同時に簡単には土俵を割らないくらい力が付いている。しかしその一方で7日目の玉鷲戦、14日目の阿武咲戦は圧力負けし、相撲を取らせてもらえなかった。土俵際で粘るのにも限界があるのでもう少し前に出る相撲を取りたい。

 来場所は西前頭15枚目となったが改めて勝ち越しを目指したい。そのためにはやはり前に出る圧力が欲しい。それでも今場所は7勝しており、勝ち越しまであと一歩である。何とか勝ち越して壁を破りたいところだ。