角界の鉄人! 玉鷲 私が観た印象

 今は迷いのない突き押し相撲を取っているが、20代の頃は押すのか廻しを取るのか分からない中途半端な相撲を取っていた印象がある。また押すにしても必要以上に頭を下げて窮屈そうにぶつかっていく内容も目立った。師匠は突き押し一本と迷いがなかったようだが、本人に迷いがあるように見えた。邪魔になったのがリーチの長さである。リーチが長いのでつい廻しを取りたくなってしまう。またモンゴル出身力士の大半が四つ相撲であり、押し相撲は少数派だったのでその影響もあったかもしれない。もう一つ言えるのがモンゴルでは相撲経験がなくそのまま入門しているので、経験者よりも自分の相撲に自信が持てなかったというのもありそうだ。ただこの部分に関しては経験がなかったからこそ日本の相撲を吸収しやすく、入門前の怪我がなかったので体が押し相撲に馴染んだと見ている。

 時間がかかったものの幕内に定着してからは自分の相撲に迷いがなくなった。時に廻しを取る相撲も見られるが、その時は「師匠に怒られる」とコメントし、反省している。

 感心するのがやはり体の丈夫さである。これは通算連続出場が40歳になった今でも継続中であることが物語っている。勿論歴代1位の記録である。そして肘にサポーターを施していないのも驚きである。突き押し一本だと大抵の力士は肘を痛めるものだが、肘の痛みに関しては全く聞いたことがない。努力もあると思うが、生まれつき丈夫な体の持ち主と言えそうだ。

続く