2025年1月場所個別評価 若碇

 今場所は東十両13枚目だったが9勝3敗3休という成績だった。4連勝スタートを切り、5日目は生田目に敗れて初黒星となったが翌日から連勝し、9日目に早々と勝ち越しを決めた。そして11日目は獅司との1敗対決となったが、寄り切りで敗れて2敗目となった。また土俵下に転落した際に左上腕を痛め、翌日から休場した。

 内容に関しては押し相撲と懐に入っての相撲、そして投げ技で白星を挙げていた。先場所より増量しており、その分だけ前に出て勝つ内容が増えた。また動きが速く、十両前半の土俵を盛り上げた。8日目は琴栄峰との若手同士の一番だったが鋭く当たると二本差し、前に出ながらの左からの掬い投げで琴栄峰を圧倒した。10日目の白熊戦は当たってすぐに左を差すと肩透かしを決め、白熊を土俵に這わせた。立ち合いの踏み込みが鋭かったからこそ技が決まった。2日目の大翔鵬戦は蹴返しで勝っており、多彩な技を持っている。

 一方気になったのは獅司戦である。負けたことは仕方がない。それよりも土俵下に転落した際、左腕を強打した部分である。受け身が取れなかったことが原因と見ているが、私が言いたいのは受け身をしっかり取ることではない。増量して押されにくい体を作って欲しいということである。現在は体重が119キロだが、あと10キロは増やしたいところだ。また獅司戦の前も体力的に目一杯の内容が多く、その意味では必然の結果だったと言える。今の体重のままで番付を上げたところで、同じような怪我をする可能性が高い。増量して平幕上位の番付に定着している翔猿や宇良を手本として欲しいところだ。

 3月場所は自己最高位の東十両9枚目となった。また休場の原因となった「上腕二頭筋腱遠位断裂」は手術の必要もあり、症状としては重そうである。よって全休となり、幕下から出直しとなる可能性もありそうだ。19歳と若いので、怪我を治すと同時に一から体を作り直すのも悪くないかもしれない。