2025年1月場所個別評価 朝紅龍

 今場所は西十両2枚目だったが9勝6敗という成績だった。3連勝スタートを切り、前半戦は6勝2敗で折り返した。そして後半戦は9日目から3連敗したが14日目に勝ち越しを決めると千秋楽は琴栄峰を押し出し、再入幕に向けて大きな9勝目となった。

 内容に関しては懐に入っての四つ相撲と押し相撲で白星を挙げていた。前半戦は同じく十両上位力士との対戦が続いたが6勝を挙げており、地力が付いてきたのは確かである。好内容だったのは初日の紫雷戦と7日目の竜電戦である。紫雷戦は当たってすぐにお互いに左を差し、右上手は取れない形となった。しかし体は紫雷の方が大きく、動きを止められたように見えた。そして紫雷が先に右上手を取ると投げを打ち、下手投げを打ち返したが廻しが切れた。それでも向き直ると懐に入って二本差し、左からの下手投げで裏返しにした。紫雷の攻めを凌いだということで館内からは大きな拍手が起こっていた。竜電戦は当たってすぐに左下手を取ったが竜電が前に出ながら得意の右上手を取った。動きを止められ、苦しい形に見えたがタイミングを見計らっての下手投げが決まった。普通は上手と下手は上手の方が有利なのだが、中には下手投げを得意とする力士もいる。朝紅龍もそのうちの一人であり、幕内では豊昇龍が当てはまる。それにしても竜電は尻もちをついており、鮮やかな下手投げだった。

 来場所は再入幕となり、東前頭16枚目となったが今度は勝ち越したいところだ。ただ幕内だと力士の体が大きくなる上にスピードが速くなる。よって対応するだけでなく、結果として白星を挙げられるかが焦点となる。また身長177センチ、体重125キロの小兵力士であり、今場所白星が先行したように、勝てる時に勝っておきたい。新入幕の場所はそれなりの内容の相撲が取れており、勝ち越せる力はあると思うので頑張って欲しい。