2025年1月場所個別評価 豪ノ山

 今場所は東前頭3枚目だったが8勝7敗で勝ち越した。3日目は宇良との寝屋川出身同士の対戦だったが押し倒しで勝ち、6度目の対戦で初白星となった。前半戦は5勝3敗で折り返したが後半戦は黒星が増え、13日目で7敗となり、勝ち越しに向けて後がなくなった。しかし残り2日は翔猿、翠富士の小兵力士をいずれも一方的な内容で突き出し、勝ち越しを決めた。

 内容に関しては馬力を前面に押し出した突き押し相撲で白星を挙げていた。初日の大栄翔戦は負けはしたものの、真っ向勝負の突き合いは見応えがあった。4日目の平戸海戦は当たってすぐに左前廻しを取られたが左を差し、右はのど輪で攻め立てると構わず押し出した。持ち味を発揮した一番だった。

 また2日目は関脇・若元春に対して右を差し、左はおっつけて寄り詰め、最後は左からの突き落としで転がした。取組後は「上の人に勝っていかないと、上が見えてこない」とコメントしていた。その通りなのだが、役力士相手に相撲を取って勝ったのはこの一番のみであり、上位戦に課題を残した。

 そして差された後の対応も課題として挙げられる。12日目の若隆景戦は土俵際まで押し込んだものの左に回り込まれると右を差され、最後は寄り切られた。13日目の隆の勝戦ものど輪で押し込みながら右を差されると最後は前に出たところを土俵際で突き落とされた。勿論組んでも若元春戦は勝っており、琴櫻戦もあと一歩のところまで追い詰めているのだが、組んだ後どう取るかは今後の課題である。組まれた後の技の引き出しが少なく、突き押しを磨くと同時に対応力も強化したい。あとは組まれるとあっさり負けることが多いので、相撲に粘り強さが欲しいところだ。

 来場所は勝ち越した上で役力士を倒す活躍を期待したい。そして役力士を3人以上倒せば地力は持っており、新三役が見えてくるはずである。内容自体は悪くないので、あとは結果を出すだけである。