2021年5月場所個別評価 大栄翔

 今場所は6勝9敗と負け越した。これで来場所は再び平幕陥落となる。前半戦は3勝5敗で折り返した。そして後半戦は9日目に貴景勝を破り、上位戦も終わったということで巻き返しが期待された。しかし10日目から3連敗し、12日目に負け越しが決まった。特に10日目の若隆景戦、11日目の明生戦がポイントだった。両者ともに新三役を目指しており、大栄翔は何としても勝ちたい相手である。若隆景戦は突きたてるも右おっつけから上手く懐に入られ、最後は寄り倒された。明生戦は立ち合い負けし、左を差された。離れて振りほどき、応戦するも流れは変えられず、寄り切られた。連日の対戦であり、結果的に2人に三役の座を引きずり降ろされた格好となった。そして大栄翔からすれば2人は勝たなければいけない相手だった。三役を確保できなかったという意味ではこの二番が全てだったと言っても過言ではない。

 内容に関しては立ち合いのぶちかましを止められる相撲が目立った。隆の勝同様相撲を研究され、自分の相撲が取れなくなってきている。やはり動きを止められると苦しいので先手を取り、動きの中で勝負を付けたい。止められたり、懐に入られたりすると苦しくなる。そして突き押し一本なので1月場所のように勢いが付けば誰も手が付けられなくなる一方、出足でつまづくと立て直すのに時間がかかる。また現時点では三役での二桁勝利は一度だけであり、大関候補としては少し物足りない。1月場所で優勝した勢いを活かせなかったのが残念でならない。

 来場所は平幕となるが1月場所のように初日から上位陣を倒す活躍を期待したい。そして勿論三役復帰である。今度は新三役となった若隆景、明生を引きずり降ろす番である。いずれも今場所は完敗だったのでやり返したいところだ。そして三役復帰は当然として今度は三役定着が求められる。確かになかなか三役に上がれなかった時があり、番付運がない力士と言われるが、私に言わせれば三役に定着すればそれを言われる必要がなくなる。厳しい言い方だが番付運と言われないくらいの実力を付けてほしい。またそれだけの素質は持っており、改めて期待したい。