2021年5月場所個別評価 隆の勝

 今場所は5勝10敗と二桁の黒星を喫した。来場所は平幕からの出直しが濃厚である。4日目までは3勝1敗だったが5日目から5連敗、そして11日目からは4連敗し、黒星が二桁に乗ってしまった。二桁勝利を挙げ、大関昇進への起点を作りたかったがまさかの結果となった。

 内容に関しては押し込むも動きを止められ、負けるといった相撲が多かった。以前から少し気にはなっていたのだが、本人がというよりも周りの力士に相撲を覚えられてきた感がある。基本的には右を浅くのぞかせて相撲を取るのが得意だが、相手は右を殺すのではなく、隆の勝の左から攻め、白星を挙げるといった内容が多かった。また今場所は役力士は高安にしか勝っておらず、攻略法を覚えられた可能性が高い。ここは立ち合いの当たりなどの技術ではなく、対戦相手の研究をする必要がある。また右差しではなく、押し相撲に徹するのも悪くない。今のままの相撲では来場所も今場所と同じ結果になる可能性が高い。その点で危機感を持ってほしいところだ。

 来場所は平幕陥落となりそうだが、二桁勝利を挙げ、1場所で三役に復帰したい。特に来場所新三役が濃厚な若隆景、明生には勝ちたい。逆に負け越すようだと大関候補から一気に後退することにもなりかねない。その点では非常に大事な場所である。正念場と言ってもいいかもしれない。当然だが巻き返しを期待したい。