高安はなぜ優勝できなかったのか? その3
もう一つは差し身の上手い力士と小兵・軽量力士を苦手としているからである。負けたうち正代と若隆景は体格は違うものの差し身が上手いという部分では共通している。高安は腰高で脇が甘いので差されて一気に前に出られると弱い。これで正代には8連敗、若隆景戦は1勝3敗であり、今後に向けて対策が求められる。そして明生と翔猿にも負けているが機動力があるという点では同じである。落ち着いて相手を見て対応すればいいのだが高安はそれが苦手のようだ。どうしても相手に動き回られ、バタバタした動きになってしまう。これで明生戦は2勝2敗、翔猿戦は2敗という対戦成績である。今挙げた4力士は今後も対戦する可能性が高く、苦戦することが予想される。
そして気になるのが土俵際の詰めの甘さである。13日目の若隆景戦は寄られたところで左から小手投げを打ったが、勝負に行くのではなく、おっつけて回り込みながらこらえるという選択肢もあったのではないかと思う。また14日目の翔猿戦は左四つに組み止め、有利な体勢を作ったのだから吊るという選択肢もあった。結局最後は足技を繰り出され、土俵際の首捻りに屈した。結果的には翔猿の術中にはまった形になった。いずれも結果論ではなく、もう少し丁寧に相撲を取って欲しかったというのが私の意見である。そして土俵際の詰めの甘さが精神面の弱さにつながっている部分はあるかもしれない。しかしそれを指摘したところで既に31歳であり、相撲の取り口を変える年齢ではない。
続く
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