高安はなぜ優勝できなかったのか? その1
2021年3月場所は照ノ富士が優勝したが、私としては照ノ富士が優勝したというよりも高安が初優勝を逃したという印象のほうが強い。なぜなら一時は星2つの差でリードしていたからである。星2つの差でリードしながら逆転されるケースはそうあるものではない。1月場所の大栄翔もリードを守り、優勝を果たしている。それではなぜ優勝できなかったのかを検証したい。まずは3月場所を振り返ろうと思う。
黒星スタートも2日目からは連勝し、勢いに乗った。そして8日目は1敗同士で照ノ富士と対戦したが寄り切りで破り、優勝争いで単独トップに立った。直接対決を制した上に上位陣は白鵬が3日目から休場。そして大関陣も流れに乗れず、この時点で高安が優勝争いの中心となった。そして10日目。2敗の照ノ富士が敗れて3敗となったので星2つの差となった。この時点で高安は大関戦は正代戦を残すのみであり、あとは平幕力士との対戦がほとんどなのでほぼ優勝できると思っていた。そして11日目は正代に敗れて2敗となったがそれでも星1つ差でリードしており、3敗の朝乃山と照ノ富士との対戦も済んでいるので高安の方が有利である。しかも上位力士は終盤に直接対決を控えており、星の潰しあいとなる。しかしその雲行きが怪しくなったのが13日目である。若隆景戦だったが押し込むも回り込まれて残された。そして攻防の中で右を差され、寄られたところで小手投げを打つも寄り倒され、3敗となった。そして照ノ富士が勝ったので首位に並ばれた。また4敗が5人おり、優勝争いは一転して大混戦となった。高安の立場からすれば13日目終了時点で3敗となったので自ら優勝のハードルを下げたことになる。それでもこの時点ではまだ高安の方が少し有利と見ていた。なぜなら照ノ富士は大関戦が控えているからである。また照ノ富士は高安との直接対決に敗れた上、大関復帰が懸かっていたので優勝への意識は強くはなかったと思う。
続く
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