2021年3月場所個別評価 剣翔

 1年ぶりの再入幕となったが9勝6敗で勝ち越した。3連敗スタートとなり、7日目までは2勝5敗と黒星が先行した。しかし8日目からは連勝し、13日目は不戦勝というラッキーな形で勝ち越しを決めた。千秋楽は明生に敗れ、2桁勝利は成らなかった。それでも新入幕で敢闘賞を受賞した2019年9月場所以来となる幕内での勝ち越しとなった。

 内容に関しては前半戦は幕内力士のスピードについていけず、苦しんだ印象がある。しかし後半戦は重い腰を活かした四つ相撲で連勝した。また剣翔は四つに組み止められなくても引き技や投げ技も持っており、器用な力士である。そして1月場所は十両優勝を果たしており、その勢いが今場所に表れた感じがする。元々実力は持っており、勝ち越しは決して驚きの結果ではない。

 来場所は東前頭8枚目という番付となったが勝ち越しを目指したい。器用な力士だが基本的には右四つに組み止めて寄るのが剣翔の相撲である。驚いたのが2020年3月場所に痛めた左膝前十字靭帯は切れたままのようである。それを考慮すれば激しい相撲は控えたい。また持病である腰痛が出るかどうかが左右する力士でもある。腰痛さえ出なければ力はあるので幕内定着といきたいところだ。