2024年11月場所個別評価 大栄翔
今場所は4場所ぶりの関脇となったが8勝7敗で勝ち越した。前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は10日目は新大関の大の里を寄り切りで破った。翌日からの大関戦は連敗したもののその後は連勝し、14日目に勝ち越しを決めた。
内容に関しては突き押し相撲には安定感があった。3場所続けて8勝7敗という成績だが、いずれも千秋楽での勝ち越しはなく、無難に勝ち越しているという印象である。また優勝争いを演じた二大関相手には負けはしたものの一方的な負け方ではなく、実力差は大きくないと見て良さそうだ。
印象に残ったのはまずは10日目の大の里戦である。大の里の出足を土俵際で止めると左を差し、右もおっつけながら差した。一方の大の里は肩越しの右上手一本となった。珍しく両差しの体勢となったが大の里が右上手を離すと同時に体を寄せ、一気に寄り切った。過去は照ノ富士を寄り切りで破ったこともあり、四つになっても全く相撲が取れないことはない。よって大の里の出足を止めたことが勝因であり、改めて地力の高さを示した。
そして7日目の平戸海戦である。大栄翔のもろ手からの突きを平戸海が下から跳ね上げると真っ向勝負の激しい押し合いとなった。最後は左からいなしての叩き込みで勝ったが、先輩力士として意地を見せた内容だった。激しい攻防は見応えがあり、取組後は館内から大きな拍手が上がっていた。
来場所は二桁勝利を挙げ、大関昇進への起点を作りたい。年齢は31歳であり、上を目指すのが厳しくなってきているのは確かだが、相撲に安定感があるのでどうしても期待したくなってしまう。おそらく同じように思っているファンもいるはずであり、二桁勝利という結果でファンの期待に応えたい。
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