2024年11月場所個別評価 霧島

 今場所は13勝以上を挙げれば大関復帰の場所だったが6勝9敗という成績に終わった。5連敗スタートとなり、大関復帰の可能性が早々と消滅した。その後は9日目から4連勝するなど巻き返し、6勝6敗の五分の星に持ち込んだ。しかし終盤は連敗し、14日目に負け越しが決まると千秋楽は大の里に敗れて9敗目となり、三役確保が厳しい状況となった。

 内容以前に私は初日の若隆景戦が全てだったと思っている。押し合いから霧島が右を差そうとしたところで左からおっつけられると右も差された。そして一気に寄られ、必死に粘ったものの最後は寄り切られた。

 負けたことは仕方がない。問題は体勢である。左からおっつけられた後、右を無理やりこじ入れようとしたものの、若隆景に体を寄せられたこともあり、右ヒジが不自然な形で曲がったように見えた。そして霧島が左から抱えて粘ったことでその時間が長くなった。おそらくその流れで右手首を痛めたものと思われる。

 結論から言えば結果論になってしまうが、右の差し手を抜き、潔く負けて欲しかった。終盤の土俵ならともかく、まだ初日である。怪我をして、後々に響くような相撲は取ってはいけない。確かに大関復帰が懸かった場所であり、気持ちは分かるが、それでも相撲は15日間あるので序盤で無理するのは得策ではない。勿論これは霧島に限ったことではない。全ての力士に言えることである。序盤で怪我をして休場すれば、次の場所の番付の大幅な降下は避けられなくなる。ということで序盤の怪我だけには注意して欲しいと思った次第である。場所前は順調に稽古ができており、このような結果になってしまったのが残念でならない。

 来場所は2年半ぶりとなる平幕での土俵となる。勿論1場所での三役復帰が望まれるが、三役復帰は当然として、問題は大関に戻れるかどうかである。年齢は28歳であり、三大関より年上である。そして三大関はいずれも横綱候補でもあり、大関に戻るためには大関を倒すことが求められる。また1場所ではなく、星を揃える必要があるので安定感も必要である。よって大関復帰に向けては来年1年が勝負だと思っている。

 そして相撲内容である。師匠からは「廻しを取れないと勝てないよ」と口を酸っぱくして言われているみたいだが、霧島にとっては極めて重い課題である。また9月場所は12勝を挙げたが、横への動きで勝った相撲が多く、やはり前に出る相撲を取ることが大関復帰に向けては不可欠となる。私としては廻しを取るにはどうするかを徹底して考えて欲しいと思っている。横への動きに頼っていては同じことの繰り返しだと思うので、平幕陥落を機に自分の相撲を見つめ直して欲しいというのが私の考えである。